浮気を公認していても慰謝料請求できる?絶望する前に知るべき慰謝料請求ができる逆転シナリオ
「お互い、外で自由に恋愛しよう」 「レスで辛い。でも、離婚はしたくない。どうか浮気を認めてほしい」
夫婦の形が多様化する現代、パートナーとの間で「浮気の公認」を約束する、いわゆるオープンマリッジのような関係を選択したり、あるいはパートナーの要求を断りきれずに同意してしまったりするケースは、決して珍しくありません。
初めは「それで円満な関係を続けられるなら…」と納得したはずなのに。 いざパートナーが本当に他の誰かと深い関係になると、想像を絶する嫉妬や不安、精神的苦痛に苛まれる。
「でも、一度は自分で公認してしまったことだから…」 「『浮気してもいい』と約束した手前、今さら文句は言えないし、慰謝料なんて請求できるはずがない…」
そんな罪悪感や諦めから、一人で心をすり減らしていませんか?
もしあなたがそうなら、どうかこの記事を最後まで読んでください。結論から申し上げます。あなたが交わした「浮気を公認する約束」は、法的に無効になる可能性もあり、あなたが感じているその苦痛に対して、慰謝料を請求できる道は決して完全に閉ざされているわけではないのです。
『浮気公認の約束』が法的に無効とされた例

浮気を公認したという事は、浮気によって侵害される利益がないとみなされるため、原則として慰謝料請求は認められません。
しかし過去には、夫婦間で事前に交わされた不倫を認める契約を無効とした例があります。
<東京地裁平成16年2月19日>
妻Aと夫Bは結婚の際に『結婚するにあたり、浮気してもやむを得ません、騒ぎません。』
などと記載した誓約書を作成しました。
しかし、判決は次のように述べて300万円の慰謝料請求を認めています。
「本件誓約書は,Aが婚姻を切望するBの弱みに付け入り交付させたものであり、Bの真意を反映したものとは解されず、その内容も、婚姻時にあらかじめ貞操義務の免除を認めさせるものであって、婚姻秩序の根幹に背馳し、その法的効力を首肯し得ないばかりか、社会的良識の埒外のものである。」
この判例では、『Bが真意で浮気を公認したわけではないこと』、そして『そもそも日本の法律では夫婦にはお互いに貞操を守る(浮気をしない)義務が大前提であるから公序良俗にも反している』として慰謝料請求が認められています。
つまり、あなたが「浮気を許可します」と約束したとしても、その言葉一つで、パートナーの浮気が100%許されるわけではないのです。
慰謝料請求を阻む壁|「約束したじゃないか」という反論
浮気を公認しているにも関わらずパートナーに慰謝料を請求したとき、パートナーは必ずこう反論してくるでしょう。
「あなたも同意したじゃないか!今さら訴えるなんて、約束が違う!」
このように、一度合意したことを盾に、あなたの請求が「信義に反する」「権利の濫用だ」と主張してくることが予想されます。 だからこそ、この壁を乗り越え、「それでも私は慰謝料を請求する正当な権利がある」と力強く主張するための、しっかりとした理論武装が必要になります。
『浮気公認』を覆す!慰謝料請求が認められる4つの逆転シナリオ

では、具体的にどのような状況や主張があれば、公認した浮気に対して慰謝料を請求できるのでしょうか。代表的な4つのシナリオをご紹介します。
シナリオ1:合意の範囲を著しく逸脱した
あなたが「公認」したのには、一定のルールや「ここまでは超えないで」という限度があったはずです。
その暗黙の、あるいは明確なルールをパートナーが破った場合、それは「約束が違う」「違反行為」だとして公認の無効を主張することができるかもしれません。
- 「家庭生活に影響を与えない」という約束で浮気を公認したのに、頻繁に外泊し、生活費も入れなくなった。
- 「あくまで遊びの関係」のはずが、特定の相手と本気になり、半同棲状態になっている。
- 「子供は作らない」というのが大前提だったのに、浮気相手を妊娠させてしまった。
- 浮気相手を家に連れ込むなど、家庭の平穏を著しく乱す行為があった。
このような行為は、あなたが許容した範囲を明らかに超え精神的な苦痛を与えるものであるとも考えられます。
パートナーが違反した結果、公認も無効であることを主張し慰謝料請求が認められる可能性があります。
シナリオ2:あなたの『自由な意思』での合意ではなかった
その「公認」は、本当にあなたの心からの望みだったのでしょうか?もし、パートナーからの圧力や、正常な判断ができない状況で仕方なく同意させられたのであれば、その合意の有効性を争うことができます。
- 「浮気を認めないなら離婚だ」と脅され、生活のために同意せざるを得なかった。
- 日常的なモラハラやDVによって精神的に支配され、逆らうことができなかった。
- 夫婦喧嘩の勢いや感情的な状態で、冷静な判断ができないまま「好きにすれば」と言ってしまった。
このような状況下での「同意」は、法的に保護されるべき自由な意思決定とは言えません。その経緯を具体的に示すことができれば、合意の無効を主張する大きな後押しとなります。
シナリオ3:約束が曖昧で、法的な『合意』とは言えない
そもそも、その「公認」は、法的な拘束力を持つほどの明確な合意だったのでしょうか。
- 「浮気くらい甲斐性でしょ」といった冗談めかした会話をしたことがあるだけ。
- パートナーの浮気を薄々感づいていたが、怖くて追及できず、見て見ぬふりをしていただけ。
- 勢いで『あなたが浮気をするなら私も浮気するからいいよ!』と言った。
これらは、法的に「不貞行為を包括的に許可した」とまでは評価されないことがほとんどです。相手が「公認だった」と主張してきても、「それは法的な合意ではない」と反論することが可能でしょう。
シナリオ4:相手が『公認』の事実を証明できない
最終的に、裁判などでは「証拠」が全てです。「浮気を公認した」という事実は、それを主張するパートナー側に証明する責任があります(立証責任)。
口約束だけで明確な証拠がない場合、相手は「公認の事実」を証明できず、あなたの慰謝料請求が認められるケースもあります。
ただし、パートナーとのメールやLINEで「浮気してもいいよ」といったやり取りや周囲に「浮気を公認されている」という話をしていた事実が残っていると、それが「公認の証拠」と見なされる可能性はあります。
慰謝料請求を決意したら…今すぐ始めるべき2つこと
あなたが「もう我慢できない」と慰謝料請求を決意したなら、感情的に相手を責める前に、冷静に行動を起こすことが成功の鍵です。
証拠を集める
慰謝料請求で最も重要なのが「証拠」です。特に、このケースで集めるべき証拠は以下のものです。
- 不貞行為(肉体関係)を立証する証拠
ラブホテルへ出入りする写真や動画が最も強力です。性交渉をうかがわせるメッセージのやり取りなども補助的な証拠となり得ます。
関連記事:証拠入手のプロが徹底解説!浮気の証拠になるもの・ならないもの一覧(アルシュ品川)
- 公認の範囲を逸脱した悪質な行為の証拠
生活費が振り込まれなくなった通帳の記録、頻繁な外泊を示す手帳やカレンダーのメモ、浮気相手との間に子供ができているなど。
専門家に相談する
証拠集めと並行して、あるいは証拠集めの方法を相談するために、必ず専門家の力を借りてください。浮気公認をめぐる問題は、法律的な解釈が複雑で相手からの熾烈な反論が予想されるため、専門家なしでの解決は極めて困難です。
- 弁護士への相談
あなたのケースに合わせ、「合意の無効」や「権利の濫用」といった専門的な主張を組み立て、あなたの代理人として交渉や裁判を進めてくれます。慰謝料請求ができるかどうかの判断も弁護士に聞くと良いでしょう。
- 探偵事務所への相談
弁護士が戦うための最大の武器である「証拠」を収集するプロフェッショナルです。相手に気づかれずに法的に有効な証拠を確保することで、あなたの立場を圧倒的に有利にします。
まとめ
最後に、この記事の要点をもう一度確認しましょう。
- 「浮気を公認する約束」は、社会の道徳に反するとして、無効となる可能性があります。
- 合意の範囲を逸脱した行為や、強要された・冷静さを欠いた時の合意であれば、公認が無効となる可能性があります。
- 公認が証明できなければ慰謝料請求できる可能性があります。
- 請求を成功させるには、法律の専門家である「弁護士」と、証拠収集の専門家である「探偵」への相談が不可欠です。
「公認した自分が悪い」と、自分を責める必要はもうありません。
あなたの苦しみは、決して軽んじられて良いものではありません。その苦痛を生み出した不法行為に対して正当な権利を主張することは、あなたの心と尊厳を守るために必要なことです。
もし今、暗闇の中で一人悩んでいるのなら、どうか専門家を頼ってください。私たちが、あなたの再出発を全力でサポートします。
