探偵の作成する調査報告書ってどんなもの?書かれている内容と活用方法
探偵へ調査を依頼した場合、探偵はその調査結果をまとめた調査報告書を作成して依頼者に提出します。調査を依頼しない限りなかなかお目にする機会の無い調査報告書について、そこに記載されている内容やどんな風に活用できるものなのか解説します。
また、調査報告書は良い探偵を判断するための材料となりますので、良い調査報告書の特徴についてもご紹介していきます。
調査報告書は調査の集大成
たとえば、探偵に浮気調査を依頼しようとしたとき、尾行や張り込みなどをしてラブホテルに入る様子を写真に撮り浮気の証拠を掴んでくれるだろうというところまでは多くの方が想像できると思います。
しかし、探偵は証拠を掴んでそれで終わりではありません。
その調査の1から100までを、1つの冊子にまとめるのです。
その冊子が調査報告書で、これを見ればいつどこでどのような調査が行われ、どのような情報を得られたのか一目瞭然となっているため、その調査の集大成とも言える物になっています。
調査報告書に記載されている内容
調査報告書には決まったフォーマットがあるわけではありません。そのため、探偵事務所ごとで構成は多少異なります。
依頼内容によっても多少違いはありますが、その具体的な内容は概ね以下のようなものとなっています。
- 報告書の作成日、作成者
- 依頼内容…浮気調査、行動調査、内部調査、人探し、勤務先特定調査 等
- 調査方法…尾行、張り込み、聞き込み 等
- 調査目的…調査に至るまでの経緯や知りたい情報 等
- 調査対象者情報…調査の対象となる人物の氏名、生年月日、住所、勤務先、車両 等
- 調査実施日時…調査の開始日時や調査期間 等
- 調査場所…調査を開始した場所や移動経路、立ち寄った施設名 等
- 証拠写真…調査の過程で撮影した写真
- 調査で判明した事実…対象者と関わる人物や場所などのあらゆる情報 等
これら調査報告書に記載される内容は、誰が見てもその事実を簡単に把握できるように調査で撮影した証拠写真を時系列に並べ、写真の説明を簡潔にわかりやすく記載しています。
調査報告書の活用方法
探偵が形式をしっかり守って作成した調査報告書は裁判でも証拠としてそのまま提出する事もできるほど証拠能力が非常に高い物となります。
ただ自分が事実確認をするだけでなく、以下のようなさまざまな場面で活用する事ができます。
相手に事実を認めさせる
探偵に調査を依頼する事により、事実が明確になります。調査報告書には証拠となる写真が並べられているため、相手は調査報告書を見せられれば言い逃れができません。今まで散々事実を否認していたとしても、調査報告書を見せられれば事実を認めざるを得なくなります。
協議や示談の材料
たとえばパラハラ問題や浮気問題など、あらゆるトラブルは裁判となれば時間も労力も費用もかかってきます。
できれば裁判を起こさず協議や示談で解決する事がスマートですが、証拠が無い場合は反論されたり意見が対立したりで結局裁判になってしまうでしょう。
しかし、探偵の調査報告書がある場合、その事実は明確で相手も反論できません。裁判となっても負ける事が目に見えていれば協議や示談での解決を望むようになります。
調査報告書を相手に提示することにより、事実を認めさせ誓約書を書いてもらったり、示談金や慰謝料の交渉でも優位に話をすすめられるでしょう。
裁判で証拠として提出
できれば当事者間で解決できれば良いのですが、証拠があったとしても話がまとまらず裁判になってしまうケースはあります。
裁判で争う事が想定されるケースでは裁判でも有効となる証拠を掴み、その調査結果報告書をそのまま裁判で証拠として提出すれば、裁判官から正当な判決を受ける事ができます。
警察へ被害証拠資料として提出
いたずらやストーカー問題などは、警察に届けようとしても被害状況の証拠が無い場合、緊急性が無いとして捜査の協力が得られない事やそもそも被害届を出すことさえできないことがあります。
そういったケースでは探偵の調査で得られた具体的な被害情報を記載した調査報告書を提出することにより、警察も積極的に捜査に取りかかってくれる可能性が高くなります。
また、探偵の調べた内容から解決の糸口になるケースもあります。
良い調査報告書の特徴
調査報告書の作成は簡単ではなく、調査スキルや作成のための知識が未熟であれば当然良い調査報告書は作成できません。
調査報告書を見れば探偵の調査能力が図れるほど、調査報告書の完成度は重要です。
探偵を選ぶ際に調査報告書のサンプルを見せてもらうことで、その探偵の能力を判断する材料にもなります。
素人でも、良い調査報告書を見れば自分も現場を回ったかのように調査対象者の行動が想像できるでしょう。
良い調査報告書とはどのようなものであるか、今回は探偵に依頼の多い浮気調査での調査報告書を例にその特徴をご紹介しておきます。
事実のみを記載
調査報告書の内容として絶対的に必要なのは事実のみが記載されていることです。そこに憶測や曖昧な表現があってはいけません。
『○○な様子』『△△と思われる』といった表現は探偵の主観的なものであるため調査報告書の記載方法として不適切です。
また、浮気調査を数多く実施している探偵ならば、調査対象者の行動を見ているだけで浮気しているであろうと推測できることもあります。一般的にラブホテルの出入りは不貞行為があったとみなされる行為ですが、探偵がそれを『不貞行為がある』と決めつけて調査報告書に記載するべきではありません。
しっかりと知識のある探偵ならば『〇時■分2人で(住所)の□□ホテルへ入る』『△時◎分2人で同ホテルから出る』というような事実のみを詳細に記載しているはずです。
読みやすくわかりやすい文章になっている
調査報告書には写真と共に説明書きが添えられています。
写真は一瞬を捉えたものですが、その中には様々な情報が入っていてそれを文章にすることも必要不可欠です。
『いつ・どこで・(誰と)誰が・何をしている』という事を簡潔に記載する事で、より読みやすく信頼性の高い調査報告書となります。もちろん、誤字脱字があるものは良くありません。
豊富で鮮明な証拠写真
浮気の調査報告書に無くてはならないのは調査過程で撮影される証拠写真です。
撮影された写真の数は調査期間によっても変わりますが、少なすぎる場合は証拠として不十分です。また、数が多くても、その質が良くなければ決して良い調査報告書とは言えません。
- 写真に写った人物が誰なのか明確である(ピンボケや後ろ姿ばかりはNG)
- どこで撮影されたのかわかる(ズームしすぎて場所がわからないのはNG)
- 時間が入っている(特に、ラブホテルへの出入りは滞在時間がわかる事が大切)
- 立ち寄り場所についての情報も入っている(そこに至った経路などがわかると情報の信頼性も上がる)
- ブレている写真を使用していない(撮影技術は探偵の必須能力)
こういった証拠写真がしっかりと入れられている調査報告書が良い報告書と言えます。
倫理的に問題がない
探偵であっても法律や社会的ルールは順守しなければいけません。証拠写真を撮影するために違法行為を犯していれば証拠写真の信頼性がなくなるだけでなく、法的な証拠効力さえも失われる可能性もあります。そんな撮影方法をしなければ証拠写真が撮れない探偵なのであれば、調査技術も乏しいと考えて間違いありません。
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まとめ
探偵は調査を行い事実の確認や証拠の収集をするだけでなく、得た情報や証拠を総まとめした調査報告書を作成します。
裁判や行政機関においても証拠能力の高いものとなりますので、自分が調査の結果を確認するだけでなく、相手にその事実を認めさせるために使用したり、裁判所や警察にそのまま提出する事もできます。
また、この調査報告書を見れば調査の全てがわかるものとなりますので、探偵の調査能力を判断する基準にもなります。
調査報告書のサンプルを用意している探偵事務所も多くなっていますので無料相談時に見せてもらうと良いでしょう。