採用の失敗を回避!探偵による採用調査の必要性や実施すべきケースとは?
近年、採用候補者について調べる採用調査(バックグラウンドチェック)を実施する企業が増加傾向にあります。採用の失敗は企業に大きなダメージを与えることもあるため、それを防ぐための採用調査は、企業経営におけるリスクマネジメントに有効と考えられます。
この記事では、探偵による採用調査の必要性や採用調査を実施すべきケースについて解説していきます。
採用の失敗例
社会では多くの人が日々働いています。大手企業や個人事業などさまざまな会社がありますが、その組織の中で働く人もまたさまざまな特技や能力を持ち合わせています。
沢山の優れた社員で構成された企業であっても事業拡大や更なる発展のために、人材の補充や入れ替わりは珍しいことではありません。
また、雇用形態の多様化もあり、ほとんどの企業で採用活動が行われているでしょう。
新しい人材を獲得する際、企業にとってプラスとなる人物を見極める事が重要と考えられますが、時に問題のある人物を入社させてしまい企業に大きな損失を招くケースもあります。
どのような失敗があるか、以下に4つの例をあげてみます。
必要なスキルを持った人材を得られない
即戦力となってもらうために、求めているスキルを持った人材を選んで採用者を決定する事はよくあります。
過去に実務経験があり、「すぐに任せられそうだ」という人材を見つけ出して採用をする。そんな当たり前のような流れで採用しても、いざ業務を任せたら戦力にならなかった。というケースがあります。
たとえば、経験があると言っても一人で任せられたことはなく、同僚との連携で成し遂げただけであれば、全てを一人で担うには能力不足であることもあるでしょう。
または、申告していた職務経歴や所持しているライセンスが嘘であったという事もあります。
そのため、この場合は再び時間やコストをかけて適した人材をすぐに探さなければいけない状況になります。
トラブルメーカーの採用で大切な人材や金銭の損失
対人関係や金銭問題のある人物を採用してしまったことにより、雇用後の社内環境が悪くなってしまう事もあります。
いくら仕事ができる上司であったとしても、パワハラやセクハラ等には耐えられないという人は少なくありません。結果、優秀な社員が次から次へと自主退社してしまう事もあります。
また、過去に金銭トラブルを起こしたことがあるような人物の場合、癖になって再び問題を起こす可能性もあります。そうなると、横領による大きな損失を受ける事も考えられます。
企業の経営に欠かせない経営資源でもあるヒトやカネの損失は起こってはいけないトラブルの一つです。
反社会的勢力との繋がりで企業存続の危機
もし企業が反社会的勢力と繋がりのある者を採用してしまった場合、それが周囲に知られてしまえば「反社会的勢力とつながっている企業」として認識されてしまいます。そうなれば、取引先などから契約解除されてしまう可能性が高いです。
また、反社会的勢力と繋がりのある者の採用は、結果的に資金提供したとみなされ融資の停止や上場の廃止、株価の暴落などに繋がり企業存続の危機となる可能性があります。
産業スパイによる情報漏洩
デジタル化が進んだ現代はスパイと言えばネットワークから侵入して情報を盗むケースが増えているようですが、それでも採用者が産業スパイであったというケースもまだあるようです。
ネットワークのセキュリティをいくら強化したとしても、もし産業スパイを採用してしまえば、顧客情報や機密情報が漏れてしまい業績が著しく低下してしまうかもしれません。
以上のような例から、問題のある人を採用してしまった場合、企業が経営していくうえで必要不可欠な経営資源である『ヒト・カネ・モノ・情報・時間・スキル』などを一気に失う事になりかねないという事がわかります。
企業の求人に応募してきたほとんどの人は「採用されたい」という強い思いで自分の良い点をアピールしますし、転職や就活で不利になる事項についてはできるだけ伏せておきたいという気持ちになっても決しておかしなことではありません。
中には採用されるために履歴書や職務経歴書に虚偽の内容を記載してしまう人もいるのが現状です。
採用担当者が履歴書や職務経歴書の内容を確認し、面接で人柄等まで細かくチェックしたとしても、それらで得た情報だけで全てを判断するのは難しく、優れた人事担当者であっても見抜くことができないケースは実際にあります。
そこで、採用候補者について企業が調べるのがリファレンスチェックです。次の項でリファレンスチェックについて解説いたします。
企業が行うリファレンスチェックとは?
アメリカなどの海外では採用でのトラブルを回避するために企業が採用候補者について調べる「リファレンスチェック」が広く行われています。
リファレンスチェックは主に中途採用者に行われるもので、前職での勤務態度や職務スキルなど履歴書や職務経歴書に記載されている内容や面接で聞き取った内容確認のために前勤務先の上司や同僚などの第三者に確認する方法です。
これにより、事実確認はもちろん、本人から発信される情報だけではなく、第三者目線の情報が得られるようになります。
こういったリファレンスチェックは海外では当たり前に行われる調査であり、日本でも外資系や金融系企業ではよく行われるものとなってきています。
リファレンスチェックは企業とミスマッチを防ぐために有効な手段と言えますが、リファレンスチェックにはいくつかの注意点があります。
リファレンスチェックの流れや注意点について見てみましょう。
リファレンスチェックの流れ
1.採用候補者からリファレンスチェックの承諾を得る
日本には個人情報保護法があるため、採用候補者からリファレンスチェックに対する同意が得られない場合にリファレンスチェックを行えない場合があります。
よって、雇用する企業が採用候補者のリファレンスチェックを行う場合、本人から承諾を得て行う必要があります。
2.リファレンスチェック先を採用候補者から選出してもらう
リファレンスチェックの回答をどこから得るか決める必要がありますが、そのチェック先の候補を出すのは基本的に採用候補者です。
一般的には前職で深く関わった元上司や元同僚、または元取引先などの中か複数出してもらい、その中から2~3人程度の関係者からヒアリングする事になります。
3.リファレンスチェックを行う
リファレンスチェックを行う際は企業が回答者と連絡を取り、都合の良い方法(メール・電話・面談・オンライン等)でヒアリングするという形になります。
質問の内容は企業ごとで異なりますが、以下のような内容となります。
例)
- 採用候補者との関係
- 勤務期間や勤務態度の確認
- 在職中の役職の確認
- 採用候補者のスキルや実績
- 周囲との関係構築が良好であったか
- 採用候補者の退職理由
- 採用候補者ともう一度一緒に働きたいと思うか など
こういった内容から、採用候補者が職場内で同僚や上司又は顧客等と良好な信頼関係が築けるか、仕事ぶりや求めているスキルを持っているか等の確認ができるようになります。
リファレンスチェックの注意点
ミスマッチを防ぐために有効なリファレンスチェックですが、実施する上で以下のような注意点もあります。
- リファレンスチェックを実施できない可能性がある
- 採用判定に不必要な内容まで聞いてはいけない
- リファレンスチェックの結果による内定取り消しは違法になる事もある
それぞれ詳しく説明いたします。
リファレンスチェックを実施できない可能性がある
リファレンスチェックは先に説明したように、予め採用候補者の承諾を得る事が必須であり、採用候補者が選んだ回答者から情報を提供してもらう事になります。
そのため、そもそもリファレンスチェックの承諾を得られないという可能性もゼロではありません。
また、採用候補者と親しい関係者を回答者として選出された場合、採用候補者の就職のために実力よりも高評価をされたり、就職に不利な情報を隠蔽されてしまう可能性も否定できません。
よって、リファレンスチェックも決して万全の方法とは言えない部分があります。
採用判定に不必要な内容まで聞いてはいけない
採用候補者について様々な事を知りたいからと言って、何でも質問して良いわけではありません。
厚生労働省では「公正な採用選考の基本」を定めており、以下のような「本人に責任の無い事項」や「思想信条に関わる事項」は就職差別となる恐れがありますのでヒアリングの対象としないようにしましょう。
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること
- 生活環境・家庭環境などに関すること
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観・生活信条などに関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること など
リファレンスチェックの結果による内定取り消しは違法になる事もある
リファレンスチェックを実施した結果、会社の求める能力や価値観とズレているなどで採用を見送りたいと思う事もあるでしょう。
しかし、内定の取り消しは雇用契約上の解雇に相当するため、客観的に合理的な解雇理由がなければ解雇権濫用となる可能性があります。労働契約法違反として内容次第では不当解雇と訴えられる可能性もあります。
そういったことを踏まえると、リファレンスチェックは内定を出す前のタイミングで行うべきと言えます。
探偵による採用調査の特徴
リファレンスチェックと類似した調査に、探偵の採用調査があります。探偵の採用調査はリファレンスチェックと似ているようで大きく異なります。
ここからは、探偵の採用調査について詳しく解説していきます。
リファレンスチェックとの違い
リファレンスチェックも採用調査の一環となりますが、採用調査はリファレンスチェックよりも広範囲に渡って採用候補者の背景を調べることになります。
リファレンスチェックは比較的ポジティブな情報を集めて社員と企業のミスマッチを防ぐ調査ですが、採用調査ではネガティブな要素についても調査し、採用すると企業にとってリスクとなる候補者を検知するための調査と考えられます。
また、リファレンスチェックは前職の関係者に対するヒアリングが基本となりますが、探偵による採用調査は採用候補者の身辺調査となるため、尾行・張り込み・聞き込み・データ検索など様々な調査手法を用いて行い、より詳細な情報を集めることが出来ます。
探偵の採用調査で調べられる内容
探偵の採用調査では、採用候補者の背景や信頼性、行動パターン等まで詳細に調査することができます。
さまざまな調査が行われますが、例えば以下のような内容を調べる事が可能です。
- 学歴/職歴
- 破産歴
- 犯罪歴の有無
- 民事の訴訟歴
- 反社会的勢力との繋がり
- 職務スキル
- 前職の退職理由、評価
- 人間性や対人関係
- 交友関係や性格/傾向
- 副業調査
- 過去のトラブル など
探偵が採用調査を行った際は最終的に調査結果をまとめ報告書として提出しますので、雇用主はこれを元に戦略的な判断を下すことができるようになります。
違法行為にはならないのか
採用調査は調査内容が細部に渡るため、違法行為にならないか不安に思われる方もいますが、探偵が採用調査を行う際は合法的かつ倫理的な手法で情報を取得します。
探偵業の届出を出している探偵は、探偵業法内で認められている「聞き込み」「張り込み」「尾行」その他これらに類する方法でコンプライアンスを徹底しながら行いますので違法行為を犯すことはありません。
ただし、一部悪徳探偵は違法な方法で調査をする可能性がありますので、依頼する探偵を選ぶときは注意が必要です。
関連記事:こんな探偵に要注意!知っておきたい違法・合法ガイドライン
探偵による採用調査を行うべきケースとは?
アメリカでは95%以上の企業で企業が行う採用調査(バックグラウンドチェック)が行われていると言われており、正社員の採用時だけではなくアルバイトやパートに対しても実施している企業があるそうです。
そこまで実施率が高い理由としてはネグリジェント・ハイヤリングが関係していると考えられます。
ネグリジェント・ハイヤリングとは、雇用者が採用時に必要とされる候補者の前歴調査を怠る事を言い、アメリカでは調査を怠った採用者が事故や事件を起こした場合、雇用者である企業が責任を問われることがあるのです。
日本でも、事故を起こした社員が過去に飲酒運転で免許停止になった事が判明し、企業に損害賠償金の支払いが命じられたという事例もあります。
できれば日本でもほとんどの候補者に対して調査できれば安心ですが、まだそこまで一般的ではないため、採用調査を行うべき人物かどうかを判断する必要があるでしょう。
以下のような状況である場合に探偵の採用調査を行う事をお勧めいたします。
- 幹部候補など重役ポジションの採用時
- 機密性が高いセキュリティ関連等を扱う企業
- 面接時の印象で不自然に感じる時
- 転職を繰り返している求職者
- 履歴書や職務経歴書に空白期間がある時
- ヘッドハンティングなどで高額な報酬となる人材
- 自社で行ったリファレンスチェックでは不十分と感じている時 など
また、採用活動においてはスピーディーな調査が求められます。企業からの採用通知が大きく遅れた場合、他社への採用が決まり優秀な人材を逃してしまう危険もあります。
調査のプロである探偵は効率的に必要な情報を調べる事が可能となりますので、必要な調査項目が多岐に渡る場合、探偵に採用調査を依頼すると良いでしょう。
まとめ
採用で失敗してしまうと企業経営に欠かせない大切な資源(ヒト・モノ・カネ・時間など)を失ってしまう危険があります。
時には企業存続の危機に陥るような大きな損害となる事もあるでしょう。
トラブルの元を自社へ招き入れぬよう、採用の際には採用候補者について調査する事がリスクマネジメントの中で大切なプロセスとなります。
探偵は専門的な知識と高度なスキルで安全に採用調査を行い、スピーディーに採用候補者の情報をお調べいたします。
採用で失敗したくない企業様は、ぜひ総合探偵事務所アルシュへご相談ください。